テンジクネズミ科(Caviidae) マーラ属(Dolichotis)
分布 D.patagonum : アルゼンチン中央部とパタゴニア地方(アルゼンチン南部)
D.salinicola : ボリビア南部、パラグアイ、アルゼンチン北部
 ・昼行性。D.patagonumは粗い草や散在した灌木のある乾燥したエリアに生息している。
体長 D.patagonum 69〜75cm。尾長4〜5cm。
D.salinicola 45cm。
体重 D.patagonum 9〜16kg。
特徴  ・走る生活に適した体つきになっている。身体の形状は野ウサギに似ている。そのため、「パタゴニア野ウサギ」と呼ばれることもある。
 ・様々なスピードで移動する。@野ウサギのように跳ぶ、A駆け足、B高速で長距離を移動する時には4本足全部を使った弾むような走り方、等を使い分ける。
 (時速45km以上で走ることができる)
 ・前足は4本指、長い後足には3本指。
 ・D.patagonumの牝には4ペア、D,salinicolaの牝には2ペアの乳房がある。
 ・一般に背部は灰色がかっていて、腹部は白っぽい。
 ・D.salinicolaでは、側面後部から腹部に、水平帯状の白や黄色の配色がある。
寿命 D.patagonum 飼育で14年、野生で10年未満。
食物 野生では草や他の食物。飼育ではウサギ用ペレット、果物、野菜。
性的成熟 D.patagonum 牝 2〜3ヶ月、 牡 6ヶ月
発情サイクル D,patagonum 年間2〜3回出産する。
出産時期 D.patagonum 出産は一年中可能だが、集中的に夏に生まれる。
妊娠期間 D.salinicola 約77日
出産頭数 D.patagonum 通常2頭(±1頭)。年間3〜4頭出産する。
出産後の発情 D.patagonum 牝は多発情性で、分娩後発情する。
離乳期間 3週間。誕生後すぐに動き回ることができる。子供は穴の外で生まれるが、すぐに内側に移動する。

D.patagonumにおいて
 ・自分で掘った穴や、アルマジロ等他の動物に放棄された穴を棲家として利用する。
 ・集団(最大35ペア、70頭)で生活するが、群は夜に分散し日中に集まる。
 ・群の牡は序列を維持し、個体はテリトリーを持たず利用可能なスペースは共有する。
 ・基本的な社会的単位は連れ添ったペア、一夫一婦制。殆どの動作は牝が始め、牡は常に接近したまま、他の牡から牝を守る。
 ・Rood(1972)は、荒地での数が減少しているように見えることと、以前は数多く生息していたブエノスアイレス州において、今は希少であることに注目した。減少した原因は、人間による生息地破壊と、持ち込まれたヨーロッパ野ウサギとの競合による、としている。
 ・現在のところ、IUCNレッドリストのランクには入っていないが、近い将来、何らかのカテゴリーに評価(ランクイン)されると考えられている。

参考資料
RODENTIA; CAVIIDAE; DOLICHOTIS Patagonian Cavies, Patagonian
Dolichotis patagonum